浜辺暮らし

束の間の逃避行

【短編】コラプス 第3.5章

街を歩くと、市長選挙の時期らしく、街頭演説のホログラムが各所に立っていたり、IBN(インターブレイン・ネットワーク・システム)を介して投票を呼びかけるメッセージが送信されてきたりと騒々しかった。


そうしたなか街頭のディスプレイでは日本の集団的自衛権に意を持つ活動家達が仮想世界でデモを起こしていた。

聞けば今回の市長選に、かつて日本の自衛のための国際的軍事後方支援を推進した関係者が出馬しているらしく、その者を落選させるべく活動しているとのことだった。


日本の自衛隊は今や、自動同時翻訳技術の進展や防衛予算の対外調達等々の背景から、米国が主導し、インドやオーストラリア、カナダ、日本を首長国とする、PIAP(Pacific and India ocean Alliance of Progressive)加盟国の軍の哨戒・輸送・バックオフィス業務を一挙に引き受けていた。

このことが人によっては不快らしく、時折こうして声を荒げて活動している、そんな感じだ。


オレは市長選や集団的自衛権といったワードをノイズ指定して受信 対象外とし、徐々に拾うべき情報を絞っていった 

 ー 女性、黒髪、長髪、狐目、そして、VOID ー