ドリームジョブ

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【短編】コラプス 第17章

世の中には虚しい行為とは知っていながらもついやってしまうことがある。

人間とは不思議でここまで社会、科学、情報技術が進化した今でもそれは古来より変わらない悪癖として壊れることなく継承されている。

関係の冷え切った異性に対して答えが返ってこないと分かっていても何かを確かめたくてつい自分のことをどう思っているかと聞いてみたり。
チェーンストア以外の店もない田舎町で何か新しい発見はないかと目を皿にして徘徊してみたり、ネット検索をしてみたり。

人を惹きつけたいのにそれほどの個性がなくて、そこを埋めようと高価なアイテムで着飾ってみたり。

 

今の自分行為もそういったものと同じく虚しいものだ。

 

フロートから目が覚めた次の日のことはもう思い出した。

もう分かっているのだ、時刻表にないあのバスはもう来ないし、あの女も来ることはない。

その日オレはあのバスの行先まで行き、あの女を殺めたのだ。

 

 

【短編】コラプス 第16章

深い森の中で白馬が一匹、死に絶えようとしている ー その馬、血を吐きながら、両方の前脚で空を掻いている。血は当たりに撒き散らされ、木々の新緑を天蓋に、その下で朱色の円形の舞台が形成されていた。 否、その舞台よく目を凝らすと、血のみではない。ぶつ切りにした大腸のような虫共が蠢いている。 近づいて詳しく見てみると、虫共は馬の後脚から体内を侵し、グニグニと馬の美しい白髪の表皮のもとで、動いている。 この馬も苦しそうかと思いきや、どこか愉悦に浸る目をしている。 快楽の元で死んでゆくのか、そうこの馬の死に様を見極めたその瞬間、オレは白馬に丸呑みにされた。 あとはもう一瞬だった。オレは馬の体内の肉に包まれ…

 

フロートであの女と別れて以来、オレが目を覚ましたのはそのときだった。

目を覚ますと、独特の匂いに気づかされた。葉と土といった森の匂いの中に金属系の匂いがブレンドされた感じ。さらには、体中を覆う筋肉痛や擦り傷切り傷の痛み。

まるで自分の部屋も自分自身も既に己のものではなくなってしまったかのようだった。

さらには、部屋に広がる金属や動物の肉と骨 ー

 

あまりの異常さに頭が痛くなりそうになりながらも、フロートで女と別れ後の記憶を思い出しきれず、ある直感の下、平然のフリをして母親の手作りの朝飯を食らい、家を出て、今ここにいる。林のなかで、過去の記憶を再生して自分の記憶を呼び戻し、直感の証左を得ようとしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

【短編】コラプス 第15章

抜き出されてようとするデータを出来るだけ引き留めようとデータベースを守りに入る。

マイナンバー、口座番号、暗証番号、生体情報、下界と繋がった紐を切るように必要なコードを切っていく。

防衛策を打ちながら、敵の攻撃が薄いことに気づく。それもそのはず、敵の関心は全く意外な情報に向けられていたからだ。

ここ数日のHMM/Health Management Memoryのログ情報に絞られていた。しかも、バス、位置情報、行き先、といった個人のセキュリティとは直接的に関係のない検索ワードでデータが抽出されていく。

オレは敵の関心が意外なところに向けられていることにも驚かされたが、そもそも、自分がHMMに設定した自動運動のルーチンからは得られないであろうログが並び抽出されることに驚かされた。このとき、始めて、ここ数日の自分が現実世界でとってきた奇妙な行動に気づくのである。

データが抜き出されるまでの短期間にオレは無意識下に溜められていたログから動画を構築し、高速で再生する。

 

ー 知らない街角を歩き物資を調達する自分の姿、林の中に潜み蝸牛のようにニョキッっとした双眼鏡でバス停を監視する自分の姿、バス下に発信機を仕掛ける自分の姿、あぁオレは操られていたのか

 

データの抜き取られが終わる。オレは脊髄反射的に抜き取られた1件のデータを掴み取る。

 

眼前にはあの女。

 

ー それで、貴方はどうするの?

 

そう言い残して、女はフロートからログアウトしていった。

 

 

 

 

 

【短編】コラプス 第十四章

オレは家に帰るとそのまま自分の部屋に上がり、フロート行のIBMを挿し込む。

その瞬間オレの意識は再び電脳から自分自身の脳の支配下に戻った。

 

それと同時に一瞬の暗転 - 起動&ログイン - VPBNWの構築 - IBNからのアバター情報の読み込み - 各種情報の紐付け - 明転 -

 

オレは4日前にいたバーで酒を傾けていた。

ガラス張りの高層ビルのワンフロアで傾けるグラスの氷には天蓋のマジックアワーの色合いが映し出されていた。この時点で日中の自身の行動を知らないオレは、先ほど仮想空間上で仕事を終えた直後にこのバーにいることを疑問に思いながらも、酔いのせいかー その程度にしか捉えていなかった。 

 

何杯目かのグラスを空にしたそのとき、フロートでも見かけないほどの女が声をかけてきた - いや、オレはこの女を知っている。記憶が蘇る。覚えている。酒を飲んでお互いもっとハイになろうとしていたところまで。その先はデータが壊れている。

 

その女が妖しげで魅力的な容姿、仕草で寄ってくる。

ー隣良い?

あの日のように言葉を交わし、酒を交わす。オレは壊れたデータの続きを今度こそ見たくて、大袈裟なリアクションを交えて何とか誘い込もうと盛り上がっていた。

女は肩をよせてきて、ささやく。

 

ー特定してくれたのね。あなたの役割はここまで。ありがとう。

 

オレからデータを引き出しながら、女がそういった -。

 

 

 

 

 

 

 

【短編】コラプス 第十三章

その日もオレはバス停とメモを見比べていく。

1件1件丁寧にチェックリストを潰していく。

バスが来てバス停に停まり、人が降り、乗り込んで、バスが発車して去っていく。

規則正しく繰り返される営みに沿って、情報の波が押し寄せてくるように錯覚する。

波が寄ってきて、去っていく。

 

また波が来る。その瞬間だった -

オレの目と手は動きを止めた。

手元のメモにも時刻表にもない行先のバスが来たのだ。

目と手が動きを再開する。

そのバス/市民と自然の家行にバス停に並ぶ人の列から男が3人乗り込む。

 

オレは記録を止め、急いで林を出る。

バスが発車し橋を渡り始める。

オレは息を切らして橋のたもとの信号に辿り着く。

信号が変わり、バスが停まる。

オレは信号を渡らずバスの横を抜ける。その途中躓く。

地面に伏したおれはバスの車体の下に発信機を仕組んだ。

 

そしてオレは何もなかったようなフリをしてその場を去った -

 

 

 

 

 

 

 

【マレーシア】お金関連を調べたメモ

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【短編】コラプス 第十二章

次の日もオレは林の中にいた -

 

視線はしきりにバス停と手元のメモを行き来している。

バスの時刻や行先、運転手、乗車する人達がメモと齟齬がないか、素早い手つきでチェックしていく。特に乗車する人達に新しい変化があれば、新たに書き起こしていく。
 - 顔つき、身長、体形、クセ
 - 見落とさぬよう最善の注意をもって

傍から見ると、途方もないように感じるこの作業もルーチン化してしまえば、
さほどの本来の脳のメモリは使用しないのであろう。
それを裏付けるかのように、並行して仮想空間で仕事をしていたオレの勤務評価にここ数日で特に変化は見当たらなかった。

 

林のなかでの監視業務を終え、昨日と同じように家路につく。
翌日も監視業務をこなす。同じく家路につく。

そしてまた翌日、変化が起きたのはその日だった -