浜辺暮らし

束の間の逃避行

【短編】コラプス 第10章

1日目はバスと乗車する人々を観察して終わった。

 

観察中は、バスの行き先、時刻、車種、運転手、乗車する人の顔、体型、歩き方など、全てを手書きのメモでDB化していた。驚くほどの速度、緻密さで。

 

薄暗い林の中で、蝸牛のように突き出した双眼鏡から得た情報を基に、蹲りながら唯黙々と手元が処理を進める ー 何か昔の人間が畏た妖怪のようなモノが具現化されたようなその姿は、とても自分のものとしては受け入れ難かった ー

 

日も暮れ始め、帰宅すべき時間が近づくとオレはご機嫌そうに家路に着いた。