浜辺暮らし

束の間の逃避行

【短編】コラプス 第二章

メザシに味噌汁に白米、漬物という質素な朝飯を済ませ、身支度をする。

 


いつもなら、会社から支給されたメモリーをスロットに挿し、仮想空間上の職場に出勤して、そこでナノサイズの医療ロボットを捜査し、患者の体内で細胞レベルの治療を施す仕事をしている。その間にも肉体的な身体は電気信号で自動操作され、道を歩き、階段を登り、信号機を渡る等、健康を維持するための軽度の運動をこなしている ー  クソみたいな世界だろ。

 


ただし、今日は違った。

オレはスロットに身の回り(よそ様の)のデータを収集してくれる違法なメモリーをスロットに差し込み、玄関を後にする。

 


庭先ではコロが明日に向けて糞をしていた。