浜辺暮らし

束の間の逃避行

【短編】コラプス 第十二章

次の日もオレは林の中にいた -

 

視線はしきりにバス停と手元のメモを行き来している。

バスの時刻や行先、運転手、乗車する人達がメモと齟齬がないか、素早い手つきでチェックしていく。特に乗車する人達に新しい変化があれば、新たに書き起こしていく。
 - 顔つき、身長、体形、クセ
 - 見落とさぬよう最善の注意をもって

傍から見ると、途方もないように感じるこの作業もルーチン化してしまえば、
さほどの本来の脳のメモリは使用しないのであろう。
それを裏付けるかのように、並行して仮想空間で仕事をしていたオレの勤務評価にここ数日で特に変化は見当たらなかった。

 

林のなかでの監視業務を終え、昨日と同じように家路につく。
翌日も監視業務をこなす。同じく家路につく。

そしてまた翌日、変化が起きたのはその日だった -